訪問看護ステーションとは?
自宅で療養生活を送れるように、医師や他の医療専門職、ケアマネジャーなどと連携し訪問看護を提供する事業所です。看護師のみのところもありますが、 その他介護士やヘルパー、リハビリスタッフなどもいるステーションもあります。
訪問看護のイメージって?今と昔の違いは?
自分が病院で働いていた時にイメージしていた「訪問看護」は、他の人も似たようなイメージを持っていることが多かったです。
病院を離れた看護師がゆっくりしたペースで、世間話しながら健康観察をしている…みたいなイメージでした。
実際に訪問看護師になる前に、自分はデイサービスで看護師として働いてたため、在宅で生活している方を見る機会があり、また訪問看護師と接する場面もありました。そのため、そんな安易なものではないとは理解した上で転職しました…
実際は、
看護技術で言うならば、病院で行っていることとさほど違いがありません。
なので、侵襲度の低い基礎看護技術だけではなく、点滴もありますし、呼吸器も、吸引もしますし、酸素療法も、麻薬の管理も、輸血も…
在宅で過ごすことを選択する方が増え、ニーズに合わせて行えることは増えてきています。
利用者にとっては良いことばかりですが、看護師にとっては知識、技術がもちろん必要ですので、気楽な気持ちだと結構ギャップに戸惑ってしまうかもしれません。
もちろん病院との違い、在宅での特徴などもあります、
例えば、
CVカテーテルは少ないです(たまに挿入したまま退院もありますが)。基本的にはポート増設し、TPNなどを行うケースが多いです。なのでポートや在宅用輸液ポンプの管理方法などの知識が必要だったりします。循環器で働いていた時はほとんど見ることはなかったです。
また、経管栄養は胃瘻が圧倒的に多いです。そこまで手技は難しくないですが、家族や本人が行うケースもあるので、指導スキルは必要となってきたり。
などなど、具体例を挙げるとキリがないです。
ただ、一番の違いは、
【環境が整っていない】
と言うことです。
ここでいう環境とは、「物品」、「人」、「時間」です。
①物品が揃っていることはまずありません。
例えば、
・傷があっても、軟膏もなければカットバンも、ガーゼもテープもない。
・点滴開始になったけど点滴棒がない。
・浣腸や摘便したいけど、潤滑剤は?
・吸引する時、酸素あったらなぁ。
・発熱あり。でも解熱剤の処方がない。
「無い…」経験は訪問看護していると、めちゃめちゃあります。病院は恵まれていたんだなぁと思います。でも「無い」⇨「できない」ではなく、「無いけど、なんとかする。」しかありません。病院看護師歴が長い方は少し柔軟にならなければならない場合が多々あります(自分がそうでした)。
余談ですが、いろんなケースを経験すると、最低限持っていた方がいいものや事前に医師と連携して薬剤を準備しておくなど、個々にあった考えができるようになると思います。今では常備薬を利用者宅にストックしておく訪問診療医も増えてきました。
「○○と〇〇準備してください。」⇦これはなかなか高齢世帯ではハードル高いですし、できたとしても数日かかる場合も多々あります。
病院だと当たり前に揃っている物が、在宅だとありません。一回で捨てていたものも消毒して何回も使用するものもあります。なので在宅での再利用の知識も後々必要になってきます。
とにかく応用力と準備が必要です。
②次に「人」です。
これは整っていないと言うには若干語弊があるかもしれませんが、どういう意味かというと病院とは違うよ!ということです。
医者が居ないのは当たり前、相談できる看護師もすぐ隣にいるわけではなく、力を借りたくてもすぐには誰も来ない、などなど…
ある程度の個人スキルや判断能力は必須だと思います。
よく最近は「新卒からでもOK」、「一度現場を離れた看護師が働きやすい」などの謳い文句を聞きます。それができるステーションもあります。が、ほとんどは…😓
かなりひどい転職経験も実際多々聞きます。そういうのは転職前に知れたらよかったなと思います。
※このような内容は“転職前に知りたかった訪問看護について②”の記事で書こうと思います。
少し脱線しましたが、要は現場に出ると基本1人です。職場のホームページにどんなに良いことが書いてあっても、基本1人です。その意味は理解しないと、と思います。
ある程度看護師の経験ベースがあると、訪問看護は楽しいし、良い意味で気が楽です。
自分は急性期で看護師も医師もたくさんいる環境でも働いてきましたし、すごく勉強になりました。でも今、訪問看護師の方が自分は楽しくやれている気がします。
③次に「時間」です。
「訪問看護は1人に対しゆっくり時間をかけることができる。」
そう思います。でも訪問時間というのは基本決まっています。そのため時間の制約はできてしまいます。
(例)訪問時間30分〜60分
ゆっくり会話をしたり、身体の状態をみたり、病院ではなかなか難しい長さの時間を1人にかけることができます。ゆっくり手浴や足浴もできます。
病院経験がある人からすると「いいなぁ」と思うポイントでもあると思います。余程の複数ケアがなければ訪問時間に追われるということは少ないと思います。(もちろんケースバイケースで複数ケアに追われることもありますが、ケア時間が本当に必要な場合はケアマネに訪問時間変更を相談します。)
ただケアによっては、清拭など「実施が結果」になるものと、利用者の反応を含めて結果になるものがあり、後者では時間の制約に気を使わなければなりません。
例えば、
よくある介入として、「週2回の訪問で浣腸をして排便コントロール」があります。
見方を変えると、訪問時に排便がないと最悪1週間の便秘になる可能性があったり、看護師が帰ってから排便があると家族への負担が増えたり、など様々な影響が出る可能性があります。
病院だったら、出なかったら次の勤務帯や次の日に再トライができます。また24時間いつでも排便には対応できます。訪問看護はそうはいきません。要は「様子見」を安易に使えないです。
※毎日複数回訪問している場合は別です。
さらに緊急度が高くなるケースで、「末梢ルートが取れず点滴できませんでした。」「痰が絡んでるんですけど、吸引でうまく取れませんでした」などはどうでしょう?
病院だと代わりにすぐ誰かが行けますが、訪問看護だと、各々自分の担当を訪問しているので、素早い対処ができない場合もあります。
看護師も人間なので絶対はないですが、「時間内でケアの結果を出す」というのは限りなく100%に近づけなくてはならないのかなと思います。
この記事では訪問看護を始める前にはわからなかったことや、訪問看護を選択する前に聞けたらよかったと思う仕事面での内容を記載しました。別記事②では、訪問看護の仕事内容というかは、ステーションを選ぶ上で知っておきたかったことなどをまとめてみようと思います。結構コアな事もあるかなと…