基本的な事として、
訪問看護ステーションの経営母体は?
・病院やクリニック附属のもの
・医療とは関係ない一般企業の新規参入
・訪問看護事業以外にも医療、福祉の分野で色々行なっている会社
・医師会
・看護師個人が新規立ち上げ
などなど。どれが良いとか悪いとかではありません。経営母体はもちろん制約などはありません。
必要なのは「ステーションの管理者」と「人員基準を満たす看護職員」です。
管理者?
ステーションを立ち上げる時に「管理者」が1人いなければなりません。条件は看護師免許を持った人、なので看護師、保健師、助産師は可能です。ちなみに准看護師は不可。
最近知り合いの看護師数人で集まってステーション立ち上げるなどの話も、ちらほら。
人員基準?
看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)が常勤換算で2.5人配置が義務。
これが必須、最低ラインです。
プラスαとして、
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのセラピスト、ケアマネジャー、介護福祉士、ヘルパー、事務員などの職種が働いているステーションもあります。
所長ってたまにいるけど?
「所長」は組織上の役職なだけであって、必須ではありません。なので、管理者(看護師)が所長と呼ばれることもあれば、管理者の他に例えばPTなどが所長の役職としてついている事業所もあります。
自分が初めて働いたところは…
訪問看護を始めた最初のステーションは、医療機関ではない会社が母体でした。地方で展開した後、東京に参入してきたタイプで、数年の実績はあるところでした。
自分は転職の際、あまりじっくり考えるより場所などの条件でサクッと決めてしまう傾向にあります😓安易なだけですが、色んなところに話を聞きに行ったり、体験したり、面接に行ったりするのが面倒に感じてしまうからです。
ただ、無知なまま転職した結果、一部後悔した事もあります。就職先を探しているときに色々なステーションの募集要項をみました。それぞれの特色や収入や条件に関しては様々な載せ方をしています。
知っている人にとっては、当たり前のことかも知れませんが、
ちょっと知っておいた方がいいと思うことは、
①年収?月給?ボーナス?インセンティブ?
年収で記載しているところ、要するに年俸制をとっているステーションがあります。割と新規参入する企業母体のステーションは募集要項で記載されていることが多いのかなと思います。
年俸制って、病院などで働いているとなかなかないですよね?自分は最初のステーションはそうでした。ただ何となく自分は12ヶ月で割って、「お、まずまずだな」と思っていました。
でも良くも悪くも変動が少ないなと思いました。安定と捉えても良い場合もあるし、頑張ってるんだけどな(不満)…もありました。
自分が転職の際見た時の印象です、全てではありませんが、年俸制のところは「ボーナスの記載が無い」もしくは「決算賞与」の事が多いかなと。
要するに売り上げが少ないとボーナスは無いですし、または黒字であってもボーナスを出す基準、金額は企業側の判断。もちろんちゃんとボーナス出るところもあります。
自分はそこそこ個人売り上げはあったのかなと思います。新規参入の会社なので定期的に自分にかかっているお金と自分の売り上げを提示させられていましたので、自分にかかっている経費(人件費、事務所の家賃、光熱費、通信費、消耗品などなど)の+30万近くは月々ありましたが…ボーナスは出ませんでした。
夏、冬のボーナスを楽しみにしているひとは辛いかもしれません。
理由として自分が感じたのは、個人として頑張っても、ステーション全体の売り上げベースが維持されないとボーナスは出ないということ(これはどこもそうですが)。また、企業の特色なのか、毎月カンファレンスで本部の人が売り上げの詳細を提示してきていました。なので、自分の貢献度もなんとなくわかってしまい、何かスタッフの差が気になりました。適切に人事評価してくれれば良いのですが…なかなか理想は遠かったです。まぁ企業も儲けるためにやってますしね…
みんなで頑張ろうというチームプレーより、個人プレーが多かった気がします。そんな中でモチベーションを下げないために、よくインセンティブ制度を取り入れている企業もあります。要は一定以上の件数を上回る場合、その件数により、いくらか給与に加算されるということです。それも、稼ぎたい人が数人いると、訪問の取り合い?のような感じになり、ステーション内でかなり仕事量に差が出ていた気がします。ですが、件数少なくて楽な人も安定した月給をもらっており、モヤモヤする感じがしました。
②提供できるサービスの実際
訪問看護ステーションによって提供できるサービスが法的に制限されることはありません。しかし、実際はそのステーションが出来る事と出来ない事は実は結構あります。
その大きな要因が「看護師スタッフ人数」です。
ホームページに終末期や小児も対応、24時間対応など、今はほとんどのケースを引き受けますというところがほとんどです。しかし…
その人数で本当にできるの?
と今は思います。これは働くと分かります。でも働く前に知りたかったです。
①在宅医療は24時間、365日がスタンダード
土日は休みたい!と思う人は多いと思いますが、実際在宅生活をフォローしていくのに、暦は関係ないのが現状です。病院と同じ感覚です。
在宅特有のサービスとして「24時間オンコール対応」を取り入れているステーションは多いです。基本は電話対応がベースですが、必要時は訪問します。とういうことは、自分の予定は入れられないですし、お酒も飲めません。当番は交代制がほとんどだと思うので、看護師人数が3人の場合(最低2.5人)は単純に週休2日ペースで働きながら、月10日くらい待機番になります。また夜間緊急訪問があり、睡眠時間を十分に取れなかったとしても、人数が少ないと次の日もフルタイムで働く必要があります。なので当番は身体的/精神的ストレスを考えると少ないに越したことはないと思います。
今自分のところは月4日くらいです。そして、基本は訪問し自分の目で確認、判断が基本となっています。
前の職場の緊急対応は最低だったと思います。ほとんどのスタッフが電話がきても出動することはなく、救急要請をさせたり、訪問医に投げたり…というか緊急当番のスタッフの住まいが遠すぎて、そもそも行けなくない?…疑問だらけでした。
余談として、
広範囲に手広くやっているステーションもあります。前の職場は「23区対応」としていました。よくよく考えたらありえないんです。が「他の事業所と連携取りながら…」など文面上は書いていますが、ありえないです。知り合いの経験したステーションはさらに「え?…」というところもあります。
色んな考えがありますが、訪問事業はエリアを広くすれば依頼は増えるかもですが、移動時間や緊急対応の面から現実的では無い気がします。地域に密着したところの方が結果良いことが多々あります。ただ狭い範囲だと依頼も少なくなりますので大変さはありますが、継続できているステーションは信頼があって、新規依頼が来続けているとも考えられます。
さらに売り上げに関係した話をすると、
在宅には医療依存度が高い方やターミナルの方がいます。在宅で最期を過ごしたいと考える人も増えており、終末期は訪問医療、看護、介護で手厚くフォローしていく必要があります。実際、毎日3〜4回の複数回訪問を組みながら対応しているケースも多々あります。なので人員がいないと適切なケアは難しいです。ですが実際在宅で最期までフォローし、お看取りした件数などもステーション評価に関わってきます。
その評価によって影響を受けるのが「機能強化型訪問看護ステーション」というものです。この基準をクリアしているかしていないかで、売り上げにかなり影響が出てきます(ということは給料にも)。その算定要件を満たすために、ステーションの大規模化が最近重要とされています。
「機能強化型訪問看護ステーション」の内容は今回特に記述しませんが、それをクリアしている事業所かどうかも判断材料としてみていいかなと思います。
②働く上で大事な休み希望も、とにかくスタッフ人数が肝。
収入が少なくてもいいのであれば、オンコール無しや土日休み、などの条件のステーションもありと思いますが…間違いなく近いうちに需要はなくなるかなと。
要するに、
必要なサービスができているステーションであるかが重要で、そしてそれをスタッフ負担を軽くしながら熟すには人数が必要ということです。
もう一つ気になるポイント
数年前から
「○○訪問看護リハビリステーション」というところが結構増えています。
※大前提、自分は「リハビリ」は看護師目線でも重要なものと認識しています。高齢者もですが特に小児は。
その背景として、色んなセラピストから同じような話を聞きました。
病院のリハビリ科において、上の人がずっと居座り続けており、やる気のある若いセラピストがずっと下っ端として扱われている。根強い上下関係。
病院勤務の時もなんとなく感じていましたが…
看護師でもありますが慣れで仕事をしているお局的な人がいると窮屈で、一生懸命やりたい人はその環境に嫌気が差してしまう人も多いと思います。行動力のある人は自身がオーナー兼プレーヤーとして訪問看護リハビリステーションを立ち上げる人も多くなってきました。ほんと尊敬します。
ただ、ここで看護師として働く上で知っておきたかったポイントがあります。
自分の印象として、若い年齢のセラピストが、病院を退職後に訪問業界に転職ということが多くなってきたと思います。それは全然いいことだと思います。が、問題はステーション立ち上げに必要な看護師を確保する事が難しいということです。
なので、「看護師は2.5人ギリギリ」で「セラピスト人数が多い」というスタンスで運営しているステーションは結構あります。それ自体は大きく問題ないのですが、売り上げをセラピストの訪問に依存してしまうことで問題視されてしまうことが最近出てきています。
売り上げを落とさないために、訪問件数の維持は必要です。目標を持ってリハビリし卒業、また新たな依頼が来る、みたいなステーションだといいのですが、そうではなく何年も同じ人にリハビリに行っているということについて、国が疑問を持ち始めました。もちろん必要なリハビリを行なっているケースもありますが、一部にマッサージだけだったり、目標が抽象的なものでゴールがないものがありました。様々な理由で最近セラピストの訪問単価が下げられた経緯があります。
今後どのような変化があるか明確ではありませんが、小児リハなどの専門分野ができることやST(言語聴覚士)がいるステーションは重宝されるような気がします。(独自の見解です😐)
条件は人によって違いますし、人間関係は入ってみないとわからないですし。転職はしてみないと不透明な部分が多いですが、訪問業界に転職する前に知ってたらよかったなーと思った内容です。