先日職場で「在宅における呼吸アセスメント」で勉強会を行いました。

もちろん、病院などで診るポイントと基本的には同じですが、在宅の現場では簡単に
・放射線科分野の検査(レントゲンやCT)
・細菌検査
・血液ガス分析
など行えません。

なので、

問診やフィジカルアセスメントが重要です。

例えば、

問診で、
Ns「呼吸する時に苦しさはないですか?」
利用者「苦しくないです」
→呼吸苦なし。
よくある記録ですが在宅だと△かなと思います。

もちろんケースバイケースですが、ポイントとして

・在宅ではそれぞれ活動範囲がある。

・看護師の訪問は点でしかない。

利用者は訪問しているときは臥床していたり、座ったりしていることが多いです。
要するに、

「安静時」

に関わることが多いです。でも普段は「生活」を行なっているため、

「労作時」にどうなのか?

が在宅生活を継続する上で重要なポイントである

活動耐性

を評価するため大切です。

なので、問診で本人、家族から普段の様子や変わったことがないかを詳しく聞くことが、重要です。可能であれば訪問時に家の中を一緒に移動してもらったり、いつもの様子を見せてもらったりしながら評価するのがより良いと思います。

入院中は基本24時間看護師がいるため、隙間なく「線」で評価できます。しかし在宅は訪問時間内しか直接的な関わりを持てないため、どうしても「点」の評価となってしまいます。
そのため、

「点」の間を問診で埋めていくことが重要です。

呼吸におけるフィジカルアセスメントは、問診とフィジカルイグザミネーションである視診、触診、打診、聴診から行います。

それぞれの方法は在宅特有のものというのはあまりないので省略しますが、
在宅でのアセスメントポイントとして、

「換気」の評価

が重要です。

病院で呼吸状態評価として「血液ガス分析」が用いられることがあります。
これにより以下の4点が数値評価できます。
・酸素化
・換気
・代謝(腎)
・酸塩基平衡

在宅は数値評価が可能なのが酸素化のみとなります。
そのため、

看護師が『Spo2が問題ないから呼吸状態安定』
と評価しているケースをたまに見かけます。

が、これはかなり不十分なアセスメントです。

在宅ではⅡ型呼吸不全(CO2貯留)の様なケースの方が多いと思います(実際ABGでは評価していないので断定はできませんが)。

そのため先で述べた「換気」の評価が大切だと考えます。
※代謝(腎)や酸塩基平衡は在宅において中々リアルタイムでの評価は難しく、
腎機能や呼吸状態、アシデミアやアルカレミアにより出現した症状から総合的に推測するしかないのかなと思います。

換気評価はフィジカルイグザミネーションで行います。具体的な方法は省略しますが、
自分が大事にしていることは、聴診のみで判断せず、必ず視診、触診を用いるということです。


そして大事なことは、

異常時に評価するのではなく、普段の落ち着いて生活している時の状態をきちんと評価する。

当たり前に「その人の変化」を見つけるためには「その人の基本」がないとできません。
長く安定して生活している方の場合、本人にも看護師にも「慣れ」が生じてしまうこともあると思います。しかしプロの看護師としてはそれは不必要です。
毎回確実に診ていくこと、また時には「基本」をアップデートしながら長く利用者と関わっていくことが在宅ではとても重要だと思います。

投稿者

すー

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