前提として、利用者の家には基本何もないと思っていた方がよいと思います。
まず、基本的な利用者の状態観察のために必要なものとして、
・体温計
・血圧計
・パルスオキシメーター
・聴診器
・ペンライト
・消毒綿
などがベースかなと思います。
①体温計
基本、利用者宅の体温計があれば、衛生面など考慮すると、それを使用してもらっていいと思います。ただ中には電池切れや適切に測定測できないものもあるため、自分で持っているのは必須です。
最近はコロナ禍で非接触型体温計がかなり流通しました。病院、訪問診療医、訪問看護師などでもかなり使用されていると思います。ただ使用する際は注意が必要で、どんなに高い値段の体温計でも誤差はあると思います。もちろん、接触型と同一値が出る場合はありますが、発熱時などは露骨に差が出ることが多いなぁと感じます。自分は腋窩体温の方が信憑性が高いので基本はそちらを選択します。
※ただ例外として昨今のコロナ患者対応時は限りなく接触を避けるため非接触型体温計を用いることもあります。
なぜ腋窩か?(その他、口腔内(舌下など)、鼓膜、直腸などもありますが)は基本的な内容なので今回は省きます。
②血圧計
最近は水銀血圧計はほとんど見なくなりました。なのでアネロイド血圧計が主流かと思います。最近では携帯しやすい小型の電子血圧計も増えてきたと思います。自分はどちらが好みかというと、完全に電アネロイド血圧計を選びます。
なぜかというと、
・不整脈時の測定の正確性が高い。
af(心房細動)などは心拍それぞれに若干の圧の変化があり、また拍動の間隔も違います。電子血圧計では不正確な数値が表示されることがあります。それを理解していればよいのですが、結構そのままの数値を記載している看護師もいます…
・状態が悪い時や急変など、素早い血圧測定が必要な時に測りやすい。
橈骨動脈や上腕動脈触知できるなら、触診で短時間で測定できます(もちろん触診なので収縮期のみです)
ただ実際、急変時などの血圧低下時は正確な数値を時間かけて測定するより、動脈触知が可能か不可能かなどで素早く循環評価し、重症度の評価と早期対応を心がけた方が良いかと思います。
※今後、「血圧」について、実際の現場で生かせる内容で書いてみようと思います。
正直、電子血圧計のメリットは楽なだけで、上肢の安定が保てない方や脈拍不安定な方はエラーがでたり、再度加圧したりとデメリットが多い気がします。
③パルスオキシメーター
最近は持っている利用者も増えましたね。体温計と同様、本人用として使用する方が衛生的には良いと思います。ただ安価な物も流通しており、かなり機器やメーカーによって誤差があります。利用者の家にある場合は、普段使用している自分のものと数値の比較をし、適切に評価した方が良いと思います。自分が訪問時に確認した物で、3〜4%くらいの差はけっこうな頻度であります。
最近いろんなものが電子になって便利になってると思いますが、自分は「電子型」は基本疑って疑って、から信じます。
「一切疑わないのはリスク」です。
要するに電子型のものを使用するときは、本当にそれが正しい数値なのか判断する力が必要です。これが不十分な看護師が圧倒的に多いと思います。必ずフィジカルアセスメントと合わせて評価です。
どういうことかというと…長くなりそうなので、別記事に書いてみたいと思います。
④聴診器
安すぎるのはあまりお勧めしないです。そこそこしっかりした物にすると、全然聞こえ方が違うと思います。仕事場にもストックはあると思いますが、日々使う物なので自分用を揃えることをお勧めします。自分は今はダブル使用していますが、ずっとシングル使っており、正直ネットには色々記載ありますが、シングルの方が好みです。
⑤ペンライト
瞳孔の確認には必須です。瞳孔計もできればあった方がいいです。看護師用などのペンライトには瞳孔計が載っているものもありますね。ただ瞳孔だけではなく、口腔内な耳内などの観察の時にも役に立ちます。
また訪問していると「何で?」ってくらい、室内の明かりが暗い家があります。多少のケアなら問題ないのですが膀胱留置カテーテル交換や点滴時の穿刺、褥瘡の観察などに活躍します。最近は携帯のライトも活用する場面がありますが、瞳孔の確認などは携帯のライトでは強すぎたり、広範囲と照らしてしまうなどあまり適切とは言えません。
⑥消毒綿(アルコール綿など)
どうしても多人数に対して物品を使用するため、1人の利用者に使用したら、最低限の消毒(拭き取りなど)は行った方がよいです。
次に、自分自身の身を守るためのPPEです。
・ガウン
・手袋
・マスク
・キャップ
・エプロン
・シューカバー
・フェイスシールド
・ゴーグル
・キャップ
などがあります。最近だと、コロナに罹患した方と接するときにN95マスクも使用しています。
これらは、利用者に合わせて必要な物を必要な分携帯してください。多めがよいです。
次に衛生材料です。
例えばガーゼ類やテープなど、色々な物があります。在宅おいてもルールがあり、利用者負担になることは基本ありません。例外として自己負担として請求してよいケースなどもありますが。ここでは、その説明などは省略します。
たくさん携帯する必要はないのですが、実際、いざあると助かるケースがあります。
例えば、訪問したら、利用者がつまづいて壁に腕を擦ってしまい、表皮がめくれていることに気が付く。などなど、予期せぬ利用者の受傷は多々あります。基本は医師に報告、相談だと思いますが、そのまま放置するわけにもいきません。家に何かあれば使わせてもらうこともできますが、そうとも限りません。多少の傷の手当てなどの物品は最低限持っていた方がよいと思います。
文房具、その他
ボールペンやハサミなどは言うまでもなく持っていた方がいいですが、油性マジックもけっこう必須かなと。ドレッシング材の貼付日や膀胱留置カテーテルの交換日をバックに記載、薬管理の際などの日付記入…けっこう使います。印鑑は最近ほぼ使うことは無くなってきていますね。
自分はちょっとしたメモ用紙や付箋なども携帯しています。家族に一言残したいけど、書く物がないなどけっこうあります。
当たり前のことになりますが、手洗い後のタオルや、家によっては手が洗えないところもあります。手指消毒用アルコールも絶対です。
念の為持っていたほうがいいのは靴下ですね。入ってて良かったーと何度か思ってます。いろんな家がありますので。着替えもケースバイケースです。
こんな感じで、あれもこれもになるとかなりの重量になってしまいますし、持てる量も限界があります。そこは考慮してください。自分の訪問は基本自転車なので、リュックにまとめてますが、飲み物など入るとけっこうな重さです。さらに、雨の日はさらに雨具もあります…ただ慣れてくるとそこそこコンパクトにできると思います。車の人は心配ないですね!
ざっと書いてみましたが、これが正解なわけでもなく、あくまで一例です。自分もその日の訪問スケジュールによって追加する物もあります。
自分が働きやすいように色々試行錯誤してみてください。