これは最近の医療/看護の分野において、
「在宅」
にフォーカスが当たり始めて、よく聞くようになりました。
この問いには色々見解があります。
中には、「新卒1年目も大丈夫」を売り文句にしている訪問看護ステーションもあります。
じゃあ実際どうかなというと、(これは個人的な意見ですが)
「訪問業務をこなせる」というレベルなら、数ヶ月あれば達成できると思います。
ただ、内容としては、
・自宅へ訪問し決まった(覚えた)ケアを行い、それを記録に残す。
・レギュラーの利用者のみの訪問。
・同一利用者でも複数の目は必要(2人以上の看護師で交代に訪問など)
・イレギュラー時は他者評価を仰ぐ(医師、他の看護師)
なのでイレギュラーにも対応でき、新しい利用者を一人で看れる、
俗に言う「一人前」にはかなり時間はかかるのかなと。
今、医療系ではない企業の在宅医療への参入がめちゃめちゃ増えてます。
良いことと思いきや、内部事情はかなり雑です。
自分はそういった企業の訪問看護ステーションと転職で10年以上地域密着で在宅看護介護を行なってきた訪問看護ステーション2つに勤めてきました。
かなり「看護師」における考え方が違います。
※この2つの違いや差は別の記事で書きたいと思いますが、訪問業界に転職する前に知っておきたかった内容です。
「1人前」とは?
「一人前」の定義は決まったものはないと思いますが、今現在の訪問看護師は他(訪問看護以外)で看護師経験がある方が大半です。自分は病棟経験がベースとなっているので、そこの基準で言うと、
病棟看護師3〜5年目レベルに置いてます。
時代の変化や、もちろんどこの科か?によりますが、一般の内科、外科なら個人のキャラクターに影響受けたとしても3年目くらいで足並みが揃う気がします。理想は5年。
自分が思う看護師「一人前」レベルは、それぞれの科特有の専門性は置いておいて、
①基礎看護技術が身についている。
これは経験と反復です。やり方は2〜3回行えば覚えれると思いますが、同じ患者/利用者でない以上、「動作ができれば習得」ではないです。個別性を踏まえたスキルが必要で、リスク評価した上で、ケアすることが本当の意味での習得です。
在宅においてはさらに、
病院の様に全員が「決まったベッドで」、などの同じシチュエーションでケアができるかというと、そうとは限りません。必要物品も在宅では揃っていないことも多々あります。
代用品は?このスペースで?一人でやれるか?など、さらに色々考えながら行わなければなりません。より個別性が強く出ます。
②身体の異常を解剖生理で捉えられる。
病院では、外来以外はほぼ診断はついた状態での看護となります。そのため、ベースは、
「疾患別看護」となります。
なので、この病気とは何か?症状は?検査所見は?
それらを答え合わせしながら確信をつけていくのが病院です。その積み重ねと、解剖生理を結びつけて、初めて「その病気が看れる」となります。
そのベースでできると、今度は逆向きに、身体所見や症状から、疾患や今後予測される体調の変化などを推測できるようになります。
これを「症状別看護」といい、これができる様になると、予防的な介入、異常の早期発見/早期対応ができ、理想の看護師レベルになると思います。
若い時からの教訓、
「病状悪化や急変に対応できる」看護師よりも「病状悪化や急変を起こさない。」看護師に。
この考えは訪問看護師になった今、かなり重要なポイントになっています。
在宅においてのベースは、
「症状別看護」
入院治療が行われた方は、基本的に原疾患はコントロールされて退院します。外来通院でフォローしている方も同様です。
そのため、その疾患に対しては病状コントロールできているか?というところが重要です。
しかし、それだけでは不十分で、全身のフィジカルアセスメントを行い、全てを見ていくことが必要です。
もちろん病院でもその考えは重要ですが、在宅では検査データなどはすぐには確認できません。
身体所見や会話、本人の言動や訴えから、
「いつも(安定時)との違い」
をある程度診れる必要があります。
③適切にバイタル測定ができる。
これも基礎看護技術に含まれますが、色々な看護師と仕事していると、結構「ん?」というケースが多いです。
気になるポイントは、
「それちゃんと測れてる?」
「数値を信用し過ぎてない?」
バイタル測定値は観察ポイントの1つでしかない
数値が安定しているから状態著変なし⇨これは看護師としてアウトです。
④全身のフィジカルアセスメントができる。(異常と正常が見分けられるレベル)
②と重複しますが。
もちろん診断の確定はできませんが(これは医師がやること)、自分の専門分野などで診断レベルの確信が持てたらかなり強みにはなると思います!
ただ、
自己判断は大切ですが、自己判断の過信は絶対ダメです。
+αであったらよい経験値
⑤プリセプターの経験がある
これは、必須経験ではないですが、プリセプターを経験していると、
・自分の知識やスキルをアウトプットしていることが多いため、知識やスキルのレベルが上がっていることが多い。
・後輩のフォローなどを通して、仕事を客観的に見た経験がある。そのため自分に対して客観的評価ができる様になっている。
⑥病棟リーダーの経験がある
これは視野の問題です。要は他のスタッフが訪問している利用者が気になるかどうか。
「話は事務所で話しているの聞くけど、自分は行ってないから。」
「そういう利用者がいるんだ。(ちょっと気になる)」
この2つはかなり違います。
訪問看護は個人プレーが多いからこそ、チームワークは結構大切です。周りを見れるスタッフは重宝されると思います。実際、訪問看護では「緊急当番」があるので、全体の把握能力は必須になってきます。リーダー経験があると、そこが養われていると思います。
結論(個人的な見解です)、
新人が訪問看護師からスタートするのはかなり厳しいと思います
それぞれの看護師像があると思います、そのため個人的な考えですが、
看護師を長く仕事にしていきたいと思ってる方は、基礎固めしておいた方が結果自分のためにもなるし、自分を守ることにもなると思います。騙し騙しやってる看護師もいます、それもその人の考え方なので文句はないですが。
看護師としての経験値を積むには圧倒的に病棟看護です。
もし、知り合いが看護師になって、訪問分野に興味があるなら。
自分なら病院で経験積んでからとアドバイスします。
その方が在宅看護は楽しいと思いますよ。